数年前、大学進学不要論を某インフルエンサーが主張して炎上というかSNSで賛否両論の嵐になりました
私は可能であれば大学に進学したほうが良いと思っている人間ですが、ここでは大学進学必要 or 不要は論じません
今日、ここで論じたいのは文系学部に進むか? 理系学部に進むか? どちらが良いかです
特に進みたい分野が決まっていない、分からない高校生や浪人生は可能であれば文系学部に行ったほうが良いと思ってます
私が理系学部より文系学部を勧めるのは、文系学部卒の方が人生で得をする場面が多いと感じるから
ただ、これは私の人生経験から感じたことであって絶対的に正しい価値観とは思っていない
私はそこまで思い上がってはいない
ただ、そう考えるに至った人生経験や思考過程が大学進学を考える学生やその親御さん達の参考になるのではないか?と思ったのでこの記事を書いてみることにした
内容については賛否両論あると思うが、私なりの文系を勧める理由を掘り下げていく
理系でも医学部、薬学部は例外的にお勧めできる
最初に断っておきたいが、同じ理系でも、医学部や薬学部は理学部や工学部とは全く異なる学部だ
私の感覚では医学部、薬学部は看護学部のように”医療系学部”だと思う
工学部や理学部に比べて授業料もかなり高額だし教育内容も全く異なる
授業料が高額なので親御さん達の金銭的な負担は大きいのだろうが、医学部、薬学部は家庭が経済的に裕福な学生が目指す学部だと思うので高額な学費は大きな問題にはならないだろう
それに医学部、薬学部は就職には絶対的な強みを発揮する
医師も薬剤師も不足しているから職に付けないことはあり得ない
多くの薬学部の学生が就職する製薬会社は不況に強い企業の代表だ。
製薬会社の給与水準は相当に高い
製薬会社の研究員になってもMR(医療情報担当者)になっても給与水準が非常に高い
調剤薬局の薬剤師の給与水準も相当に高いし、医師の給与水準の高さは言うまでもないだろう
とはいえ、日本の医療財政はかなり逼迫しているので、今後は医師も薬剤師も給与水準が減少していくかもしれないが大幅に給与水準がダウンすることは考えにくい
教育への投資額(授業料)は高いけど、社会人になれば給与の高さで十分元は取れると思うので医学部、薬学部を志す学生には迷わず突き進んでほしいです
文系学部をお勧めする理由
理系より大学の学費が安い
物理系、化学系、生物系、工学系は高額な実験設備が必要なのでどうしても学費が高くなってしまいます(数学系は除く)
また、理系学部の多くは大学院修士課程を修了するのが当たり前になっています
多くの企業が理系採用は大学院卒を前提としているからです
私が応用化学科を卒業した30年前でも大学院進学者は半数を超えていました
今は更に増えているでしょう
多くの理系学部では大学は実質6年制になってるわけです
だから更に学費が高くなってしまいます
前述したように医学部、薬学部は更にバカ高い授業料の大学が多くて、資産家の家にでも生まれない限り進学できません
文系は講義室があればいいだけですから設備費用は必要ありませんからその分学費は安くなりますし、企業側も文系採用では大学院卒を求めないので、学費を抑えることができます
現在は親御さんの収入が減少して返済型奨学金で大学に進学している人が少なくないと思います
返済型の奨学金を利用して大学に進学した人は卒業後には返済しないといけないので学費が安いに越したことはありません
理系よりも授業が少なく自由な時間が多い
国家公務員や弁護士、研究者を目指す人は文系の学生でも勉強ばかりする大学生活になるでしょうが、一般の文系学生は授業のコマも少ないので理系学部生のように多くの講義や実験で時間を拘束されることもないでしょう
研究者にでもならない限り、大学の勉強内容は社会に出てからはそれほど役には立たないんですよね
大学時代は、単位を落とさない程度に適当に勉強して、余った時間で自分の好きなことに費やしたほうがいいと思うんです
その意味で、授業コマの少ない文系の学生は理系の学生より圧倒的に有利です
遊ぶのもよし、アルバイトに精を出すのもよし、男女交際に励むのもよしです
この2年のコロナ禍で飲食店のアルバイト求人が減少し多くの学生がアルバイトで収入を得ることができなくなり学費を払えずに大学を退学する学生が増えた、という大変痛ましいニュースがありました
これも日本が貧しくなった象徴的な出来事ですね
私が大学生だった30年前、アルバイトはあくまで小遣い稼ぎで、アルバイトで学費を賄っていた学生は極めて少数だったと記憶しています
日本は失われた30年で経済的に衰退して賃金が減少しているので子供の学費や仕送りにお金をかけることができない家庭が増えています
そういう意味で、文系の学生はお金を稼ぐためにアルバイトに時間を費やすことができますから理系の学生よりも大学生活を豊かにするのに有利なんじゃないでしょうか?
仕事の潰しがきく
化学系や物理系や工学系の研究者や技術者の多くは非常に狭い分野のスペシャリストです
そのため、その狭い分野の業界が不景気になってしまうとすぐに仕事がなくなってしまいます
その結果、大量の技術者、研究者が失業してしまうのです
他の景気の良い業界に行きたくてもスキルがないので異業界への転職は容易ではありません
その証拠として10年前のリーマンショックの時は日本の弱電業界(パナソニック、東芝、日立など)が大量の中高年の技術者をリストラしました
彼らの多くは思うような転職先を見つけられなかったのです
要は化学系、物理系、工学系の人材はスペシャリスト故に全く潰しが効かないんですよ
私自身、化学系の技術者ですがリーマンショックの時リストラされて大変な思いをしました
その後遺症からは今でも抜け出せずにいます
Yahoo知恵袋:理系人材の潰しの効かない状況について→https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1491657924
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退職勧奨されたら素直に応じる方が無難。固辞すると報復人事が待っています。退職勧奨を甘く見ない方がいいです。
勤め先企業が希望退職を募り始めたら、その会社に残るのはやばいです。よほどの事情がない限りは希望退職に手を挙げて次の職を探すことを真剣に考えた方が良いです。
一方、文系の人材は違います
人事、経理、総務、営業などで経験を積んだ文系人材は所属企業の業績が悪化してリストラされたとしても他の景気の良い業界への転職はそれほど難しくはありません
人事、経理、営業などの文系人材はどの業界でも必ず必要とされますからね
文系人材は理系人材に比べて圧倒的に潰しが効く存在なのは間違いありません
日本が高度成長しているときは技術者が不足していたので大企業が技術者をリストラするなんてあり得ない話でしたが、今は理系の研究者や技術者が簡単にリストラされてしまう時代です
化学系、物理系、工学系の研究者、技術者には本当に難儀な時代になったと思います
私が理系学部に進んだ理由
私は理学部応用化学科に進学しましたが別に深い意味があってこの学科に進学したわけではないのです
まず、文系に進むには国語や社会の学力が全く足りなかったですね。英語も決して得意な方ではなかった。
国語や社会よりは数学や物理、化学の方が得意だったので理系を選んだだけのことです。
また、応用化学系は理系学部の中では一番偏差値が低い部類の学科だったから入学しやすかったのだ
要は消去法で理系学部を選んだだけなんですよ
後は、浪人時代に通った予備校の化学の先生の教え方が分かりやすくて化学が比較的好きになったというのはあるけど、何がなんでも化学系に進みたいわけではなかったのです
数学や物理がもっと得意だったら物理学科や電気工学科に進学していたでしょう
もしくは国語や社会科が人並み以上の学力だったら経済学部や商学部を目指していたかもしれませんね
まとめ
大学に進学する際、特に入学したい学部学科が無い人(進路を決めれない人)は、とりあえずは、理系学部より文系学部進学をお勧めしたい
大学在学時も大学卒業後も理系学部に進学する人よりも得をする場面が多いと感じるからです
卒業した学部学科は卒業後の人生に大きく影響を与えるので、とりあえず文系学部に進学する、というのはあまり褒められたものでは無いとは思います
高校三年生や浪人時代に自分の進みたい学部学科を決めるのが一番良いのは言うまでもないことです
ただ、10代後半で自分の進路を決めるというのは多くの若者にとって難しいと思うんですよね
私もそうでしたから
この記事で述べた私の考えが正しいとは思っていませんが、こういう考えもあるんだ、という感覚で読んでいただけると幸いです