【書評】日本の論点2023〜2024 大前研一

読書

大前研一氏の日本の論点シリーズは毎年出版されています

プレジデント誌での大前氏の連載記事を加筆修正してまとめたものです

この本は主に2022年の国内、および、世界での出来事(政治、経済)を考察した本です

国内外でニュース、話題になったことを大前氏の視点で解説されています

内容は賛否両論あると思いますが、多くのビジネスマンには役に立つ内容です

同僚や上司や顧客などと会話する時にネタになりそうな内容が満載なんですよ

私はしがない派遣社員ですが、国内外の状況を勉強するために毎年、この、日本の論点を購入しています

私が株式投資(NISAやiDeCo)を始めたのは大前氏の影響が大きいです

大前氏はだいぶ前から、金利のつかない預貯金だけでは絶対に老後の資金が足りなくなると多くの著書で主張していた人です

私がブログを始めたのも大前氏の影響です

サラリーマンも会社に頼らず稼ぐ力を身につけないと大変なことになる、と大前氏は以前から主張していたからです

ブログでは全く稼げていませんが、NISAやiDeCoは相場にも恵まれて今のところ含み益が出ています

株式投資を始めて本当に良かったと思っています

 

大前氏は日本のメディア(テレビ)には殆ど出演しませんが、日本を代表する知識人、インテリ、エリートなのは疑いようがありません

大前氏の経営や経済に関する著書は世界中で翻訳されて読まれているのです

日本よりも世界で評価されている知識人かもしれませんね

 

前置きが長くなりましたが、この本で気になった記載を少し紹介したい

 

日本人の個人金融資産は2000兆円を超えた!

多くの日本人が預貯金に励んでいる為ですよね

特に比較的裕福な高齢者がため込んでいるのでしょう

50代までの比較的若い世代には無貯金世帯も珍しくないのですが、カネを持っている人は持っているということですよね

数年前、老後2000万円問題も話題になりましたし、今後もどんどんカネを使わずに溜め込む人が増えるのではないでしょうか?

日本は増税だの、年金額削減など暗いニュースばかりなのでよほど裕福な人を除いてお金を使わず

貯蓄に励むのは避けられないですよね

当然、国内の消費はより低迷して景気が悪くなっていくでしょう

イタリア人は死ぬまでに資産を使い切る

北欧諸国が老後福祉が充実しているのは多くの人が知っていると思います

北欧だけでなく、ヨーロッパ全体が高福祉国家なんでしょうね

そうでなけれれば資産を使い果たして死ぬことなどできるはずがありません

日本人がイタリア人の真似をしたら賃貸を追い出されて野垂れ死にするしかないでしょうね

日本人が資産を溜め込むのは、いうまでもなく政府や自治体を信用していないからです

日本には生活保護があるからカネがなくなっても困らないと主張する人がいますけど、それは嘘です

日本の生活保護制度は全く機能していません

生活困窮している人にも自治体の福祉課は簡単には生活保護の申請を受け付けないのです

だから、生活保護を受けられずに餓死する人が多発するのです

こんな国でイタリア人のようにカネを使い切って死ぬなんてできませんよね

イタリア人が心底羨ましいですよ

 

日本のセーフティネット(生活保護制度)の貧弱さを浮き彫りにした傑作です!↓

日銀には金利を産んでいない資産が200兆円以上ある

大前氏は日本の不景気(失われた30年)を回復させるためには、お金に余裕がない高齢層に現金を寄

付する必要があると考えているようです

お金に余裕がない高齢者は消費どころではありませんから日本の景気回復の足を引っ張りかねないと

心配しているようです

そのための資金を日銀の200兆円を使って資産運用して、それで稼いだ金利で貧困高齢者を救う財源

にするという提案です

中な大胆な提案ですが、そう簡単にはいかないでしょうね

資産運用は資産が目減りするリスクがつきものですから

でもお金に余裕がない高齢者を放置するのもダメだと思いますから、大前氏の主張するように何らか

の対策を打たないと日本の景気がジリ貧なのは間違いないでしょう

分配する富を創出できない日本

大前氏は岸田政権の富の分配政策を批判的に見ているようです

お金持ちに課税してカネを奪うのではなく、30年以上給料が上がらないことをなんとかしないと富の

分配を継続的に行うことができないと主張しているんですよね

大前氏も自分で会社を経営する上級国民ですから、これ以上課税されたらたまらんと感じているのでしょう

私は金持ちに課税するのが良いのかどうかは分かりません

野党などは法人税を増税して富を分配しろ!と主張していますけど、それによって新規採用を控えた

りリストラが加速したら何の意味もありません

何事もバランスが大事だと思います

とにかく、日本人の給料をあげないとどうにもならないという大前氏の意見には賛同します

ただ、日本の賃金が上がらないのは派遣社員制度の影響が大きいのでかなり問題は根深いですよ

半分弱の労働者が非正規労働者なので構造的に日本人の給料を上げるのは相当に厳しいでしょう

派遣社員制度を廃止するくらいの大胆な政策をしない限り給料は永遠に上がらないと思います

アメリカ追従外交から脱却せよ!

私もこの大前氏の意見には賛成です

日本は太平洋戦争でアメリカに敗戦してから日米安保条約を元に米国追従を継続しています

最近の岸田さんが防衛費アップのために増税に拘っているのはアメリカからの圧力なのは容易に想像ができます

アメリカでは軍需産業(軍産複合体)が一大産業です

だから武器を購入していくれる国(戦争をする国)がないと儲けることができません

アメリカの同盟国である日本(実質はアメリカの植民地ですが)は、周辺有事に備えて武器を購入し

ろ!とプレッシャーをかけられているのだと思う

我々の血税がほとんど意味のない武器購入に充てられるのは納税者としては勘弁してほしい!という

のが私の本音です

米国はロシアや北朝鮮や中国との戦争に備えて武器を購入しろ!と脅してくるのでしょうが、本当に

ロシアや北朝鮮や中国が日本に攻めてくるとは到底思えません

ロシアのプーチン大統領が親日家なのは有名ですし、日本以上に豊かな経済大国になった中国がリス

クを背負って日本に戦争を仕掛けるのは考えにくいです

北朝鮮のミサイルも日本人は必要以上に怖がりますがあんなのは所詮パフォーマンスだと思います

金正恩が本当にとち狂って日本に核ミサイルを発射したら防衛費にカネかけても何の意味もないですよ

防衛にカネを使うよりも、戦争に持ち込ませないための外交にカネを使った方がはるかに有益だと思います

まあ、とはいえ、国家として最低限の安全保障(防衛)は必要でしょう ノーガードが良いとは思えないからです

ただ、必要以上に防衛費にカネを使っていては国民が疲弊してしまいますよ

何事もバランスが大事だと思います

中国の台湾への武力侵攻は不可能

日本でもロシアによるウクライナ侵攻が大々的に報道されています

この機に乗じて、中国が台湾に武力侵攻するのではないか、との報道もちらほら出始めました

沖縄県は台湾に近いですし、本当に中国と台湾が戦争を始めたら日本も巻き込まれるだろう、との報道も結構ありましたよね

私もウクライナ戦争を見ていると、中国が台湾に武力侵攻して日本もそのとばっちりを浴びるのではないかと心配していた1人です

ただ、大前氏は中国の台湾武力侵攻はほぼ不可能だ!と一刀両断しています

詳細はネタバレになるので載せませんが、多くの日本人が認識している以上に、中国と台湾は経済的

な結びつきが強いようです

そんな大事な経済パートナーを国際的な非難を浴びるリスクを取って武力侵攻するというのは確かに考えにくいですね

まとめ  〜大前氏の考え方は好きではないが勉強になるのは確かです〜

大前氏はMIT(マサチューセッチュ工科大学)で博士号を取得した秀才で、職務経歴も大変に華やか

で、現在は会社経営者でもあります

超勝ち組の人なのは間違いない

だから、この本の内容も勝ち組の人特有の考え方が鼻につくのは仕方ないところです

私のような人生負け組(派遣社員)が大前氏の本を読むとイラつくことが結構あります

とはいえ、大前氏は世界で認められた一流の知識人(知の巨人)であるのは間違いない

だから、この本で日本や世界で話題になっているニュースを勉強するのはビジネスマンにとって決して無駄にはならないと思います

この本で述べられている大前氏の考え、主張を鵜呑みにするより、批判的に読むことがお勧めです

そのほうが批判思考が養われるし、より突っ込んで勉強する気にもなるはずです

 

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