武器としての経済学(by 大前研一)を再度読みました。ニュースで触れない日本、世界経済の真実が書いてあるので投資をしている人は必読。

読書

はじめに

大前研一さんの”武器としての経済学”を久しぶりに読み直しました。この本を購入した頃はまだ投資や株式を始めていませんでしたので、投資をしている今ではまた、違った気づきが得られるのではないか?と考えて読み直してみました。

読み直してみると、一度読んだとはいえ、忘れている箇所もたくさんあり読み直してみて良かったと思います。

どの本でも一度読むだけでは、完全に理解したり知識を身につけるのは難しいです。新しい本を読むのもいいですが、内容の濃い本は何度も読み直してみることを勧めたいですね。

読み直してみて特に気になった項目を紹介したいと思います。

円安と円高、結局、どちらの方が日本にとって良いのか?

円安と円高は海外株式を運用しているとかなり大きく影響します。円安になると日本円の時価総額は増えるし円高になると日本円の時価総額は減少します。

一方、大手企業の業績は数十円の円安円高では大きく変わらないと大前さんは主張しています。何故なら、日本のグローバル企業は全世界に工場を配置していて一国の通貨の上げ下げがあっても吸収してしまうからですね。一方、日本だけで生産している企業は円安円高の影響をもろに受けてしまいますね。それを避けるために大多数のグローバル企業は一国の通貨の価値変動に影響されないように世界に工場を分散させているわけです。

何故、日銀とGPIFが株を”爆買い”しているのに株価がもっと上がらないのか?

端的にいうと、日本企業の業績が本当は悪いということです。日銀が年間数兆円のレベルでEFTを購入し、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が年金積立金の2割をJPX日経インデックス400などをベンチマークにして運用しているので、そこそこの株高になっている管制相場なんですね。要は国を挙げて株価維持策に奔走しているだけで今の株価は日本企業の実力ではないんですよ。日銀、GPIFが日本株を購入していなかったらTOPIXなどの日本のインデックスファンドはもっと低い株価でしょう。

こういう管制相場は海外でも例がありますが成功したのは、リーマンショック後の米国だけ。米国はリーマン・ブラザーズ以外の銀行や証券会社を潰さないで5年間で事態を収拾することに成功。中国もロシアも管制相場はうまくいかなかった。

日本の株価維持策や1000兆円を超える借金を考慮すると、日本は国債や株価の暴落の危機があることを日本国民は肝に銘じる必要があると大前さんは主張しています。

マイナス金利を導入しても景気が良くならないのはなぜか?

日本は1000億円の借金があり、年金制度も崩壊しているので国民が将来に不安を感じてお金を溜め込んで、低欲望社会になっているから、市場にいくらお金を流しても国民はお金を使わず将来に向けて溜め込むだけになる。

確かに、将来不安をなくすような政策を政府が打たないと、国民の貯金が市場に出ることはないでしょうね。スウェーデンなどのように老後福祉が充実してる国は国民は貯金をしないので、将来の不安を解消するのが政府の仕事でしょう。でも国がやっている最近の施策は国民の不安を煽ることばかりですね。金融庁がとうとう、年金崩壊を宣言しましたし、日本国民は将来に向けて財布の紐を締めてますます景気が悪くなるでしょう。

日本の年金は現実にはいつまで維持できるのか?

先日、金融庁が年金崩壊を明らかにしましたから、日本は国が年金を維持できないことを認めました。人口ピラミッドを考えると若者が極端に少なく老人が多いのだから年金破綻するのが当たり前なんですけど、日本人はどこかで国がなんとかしてくれると淡い期待をしていたのかもしれません。それが見事に裏切られることになりました。子供の数を増やすことは当分できないので、日本は移民を増やすしかないと大前さんは継承を鳴らしています。私もその通りと思います。

アメリカのカリフォルニア州は移民を積極的に受け入れて老人人口はわずか10%程度。移民がカリフォルニア州の経済を支えているわけですね。日本は島国で移民反対の人が多いのでカリフォルニアみたいにするのは難しいかもしれません。

アメリカは年金制度自体もレーガン政権時代に大きく変えて年金危機を乗り越えています。日本は確定給付年金が主で確定拠出年金の加入者はまだ少ないですが、アメリカはレーガン政権時に全て自己責任運用の確定拠出年金に変更しました。反対が出ても良さそうなものですが、大幅減税も同時に行ったので国民からの反対は出なかったのです。

日本は移民受け入れも確定拠出年金への変換も恐らく難しいでしょう。あとは年金年齢の引き上げしか策は残っていませんね。75才とか80才からとか言い出す可能性も高いのですが、それでも日本国民は暴動も起こさず静かに痛みを引き受けるのでしょうか?

最後に

大前研一さんの”武器としての経済学”はあまり明るい話は書かれていません。ただ、それも仕方ないですよね。日本の将来が暗いことは誰でもある程度は気が付いているでしょう。臭いものに蓋をしないで厳しい現実を直視することから始めないといけないと思います。

日本や世界の厳しい現実に目を向けるにはこの本の内容は良いと思っています。

 

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