おはようございます。連休も四日目に入りましたね。私はずっと部屋に引きこもっています。連休のような時間があるときは本を読んだりして過ごすのが一番コスパが良いです。その本も新しく購入するのもいいですが、前に読んだ本を再度読み直すのもいいと思います。知識が定着されるし、前に読んだ時に気がつかなかった点に気がつくこともできますからね。、それに何より購入しなくていいのだから非常にコスパが良いです(笑)。
”大前研一 世界の潮流 2018〜2019”は投資家にオススメの本
大前研一さんの本は昔から結構好きでよく購入して読んでいました。この本は半年くらい前に購入したものですが再度読み直してみるとまた理解が深まり知識が定着してよかったです。最新の世界の動向が大きく理解できるので良いと思いました。
私は世界株式インデックスファンドやソーシャルレンディングで世界に投資している身ですから、世界の政治、経済には関心を持たざるを得ません。
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最新の世界動向(経済、政治、産業)のことが詳しく記述されていて勉強になる
この本は世界経済、世界政治、世界産業に大きく分けて日本、米国、中国、EU、新興国の状況を詳しく記述しています。普段からあまり世界情勢に関心がない人にはちょっと難しい内容かもしれません。私も世界政治には疎いので少し読むのに苦労しました。日頃から世界ニュースをよくチェックしている方の方が理解は早いと思います。
私が本文中で関心を持った内容を紹介します
世界経済の潮流
ICT分野における中国の急成長
特許出願数、引用論文数、企業時価総額が中国は世界でも群を抜いている。最近では情報通信機器大手のハーウェイが国際特許出願数の企業ランキングで世界一になったことが話題になりました。日本にいるとあまり意識しませんが経済大国日本は等の昔に過ぎ去った話なんだなと寂しくなりますね。
また、ユニコーン(想定時価総額が1ビリオンドルを超える非上場企業)の数も米国(108)に次ぐ二位(58)。日本はメルカリだけ。これは日本企業の責任というよりも日本特有の業界秩序や当局規制の原因で新しいことにチャレンジすることが難しいのだろうと大前氏は見解を示しています。
中国への投資に興味ある人は色々と勉強してみるといいかもしれません。
米国の財政・金融
政策金利が上がり量的緩和から出口戦略の段階に入って財政が正常化してきているが、ただ、ローン残高(自動車、学資、ローン)が増えているのが懸念点。それでもサブプライムローンで問題になったリーマンショックのようなことは起こらないと予想しています。
また、法人税の引き下げ、米国企業の海外子会社に溜めている課税強化で米国に海外から数兆ドルのお金が戻っていくるらしい。
政策金利の上昇と自国企業の海外資産の還流の影響で、米国にお金が大量に集まるのでこの先は空前の好景気に見舞われると推測しています。
そのために他国の経済が混乱するかもしれないことを危惧しています。
EUの財政金融
EUに残るべきだという意見が増えてきてブレグジットが迷走する英国。これも投資家からすると目が離せないですね。EUの経済にも大きな影響を与えますから。
またEUは日本と同じく超低金利政策を当面は維持するようです。
日本の財政問題
日本の借金が増えていることはもう周知の事実ですが、長期債務残高が1000兆円を突破しています。これは怖いですよね。日銀自らが国債を購入することが継続していてその金額は500兆円を突破。国の借金は投資家が購入するのが当たり前なのに日本の中央銀行が購入するというのはおかしいですよね。この国の経済がマジでやばいんだなというのがよくわかります。
私は日本株式にはあまり投資していませんし今後も投資するつもりはないですが、日本株に投資している人は、今の日本の株高は官制相場(日銀のETF買い入れ、年金積立金管理運用機構の日本株購入などの株価維持政策)だと認識しなければいけませんね。
世界政治の潮流
米国
トランプ大統領がロシアゲート疑惑で弾劾訴追される可能性もゼロではない。世界一の経済大国の米国大統領が弾劾されたら米国株価にも大きな影響を与えるでしょう。米国の政治からは目が離せないですね。
イギリス
もし、ブレグジットでイギリスがEUから正式に離脱すれば、EUに加入したいスコットランド、北アイルランド、ウェールズでイギリスからの独立の機運が高まりイギリスが分解する可能性がある。そうなったらヨーロッパの景気にも影響するでしょうね。ホンダがイギリス工場を閉鎖するのもブレグジットが関係していそうだし、EU離脱はイギリス国民にとっても損失の方が大きいような気がします。
中国
アリババ、テンセント、バイドゥなど新たなICT産業が育っている一方で、効率の悪い重厚長大産業(鉄鋼、石炭、ガラスなど)で働いている既得権益層も沢山いる。そういう既得権益層の雇用の受け皿をどのように準備するかが中国で大きな課題になっている。中国はICT産業が沢山育っているので既得権益層の受け皿になるだろうと予想されている。
重厚長大産業の既得権益層の雇用の受け皿の問題は日本の方が深刻でしょうね。中国みたいに効率良いICT産業が育っていないから。今日本で大量発生している大企業リストラ組は失業者になるしかないと思います。
日本
世界でも最低クラスの日本の生産性を上げるために、生産性の低い給料の高い正社員を解雇しやすくして、それだけでなく、解雇された人の再教育(現代に通用するスキルを身につける)を国の責任ですることが必要。
スウェーデンやドイツも30年前は今の日本と同じように生産性が低かったが、正社員の解雇しやすくなる法律を作り、解雇された人の再教育を国が行うことにより、現在では両国とも世界でもトップレベルの生産性になった。
また、企業も新規事業を打ち出せる人材を育成することが必要。例えば
●新卒一括採用は廃止
米国や中国のように優秀な若手に高給を支払うようする。googleやamazonは初任給が160万円、中国のハーウェイも80万円などが参考になる。新卒一括採用で20万円程度の初任給では優秀な人材を集められるはずがない。
●優秀な若手を育成する人事制度にする
38歳定年制のリクルートや新卒社長という人事制度を施行するサイバーエージェントなどが若手の人材育成に成功している企業なので参考になる。個別株に興味ある人はリクルートやサイバーエージェントみたいなユニークな人事制度の会社に投資すると面白いかも。
世界産業の潮流
世界でキャッシュレス革命が進行中
スウェーデン、エストニア、インド、中国でキャッシュレス革命が進行中。スウェーデンでは現金使用率が2%以下までキャッシュレス化が進んでいる。
エストニアや中国ではスマホ決済が主流になっている。日本のキャッシュレス普及率は17%程度と相当遅れている。クレジットカードは店舗負担が大きいのでデビットカードの普及を進めた方が良い。
私もクレジットカードが使える場所では必ずクレジットカードを使う。ポイントが付くので明らかにキャッシュより得。ただ、小規模店舗はキャッシュしか受け付けないところも依然として多い。日本ももっと頑張ってほしい。
世界でEVシフトが加速
中国、欧州、インドはEV化数量スケジュールを明確にしているところが多くなってきた。ボルボやGMも自動運転車の普及に非常に熱心。日本は国としていまだに見解を示していない。企業ではトヨタがパナソニックと共同でEVを開発し、2030年までに新車の販売をEVにすると明言しているがこの内容もインドやフランス、中国の取り組みほどは熱心ではない。
日本は日産がEV車をかなり前に市販化したのにそのことが全然国を挙げてのEVシフトに生きていないと感じる。
日本の産業長期衰退の原因
●新卒一括採用という全世代的な採用方針をいまだに取り入れている
経団連は重い腰を上げて、新卒一括採用をやめることを最近発表しました。
●道州制(都道府県を廃止して自立権限のある道州に作り変える)を導入していない
道州制にしていればシリコンバレーや中国の深圳のようなICT技術集積地ができていたかもしれない。でも日本で道州制導入は相当大変でしょうね。都道府県制で甘い汁を吸っている既得権益層が大反対するのは目に見えていますから。
まとめ
本の中身は大前さんの良くも悪くも独断と偏見が入っていると思いますので、どう受け取るかは我々読者次第です。あえて大前さんとは見方の異なる著書を読むのもいいと思います。私は内容の是非はともかく最近の世界動向を考えさせるきっかけとなる面白い本と思ったので紹介させてもらいました。