海外旅行のバイブルとして古くから有名な沢木耕太郎さんの”深夜特急”を読みました
読んだ感想としては、”海外旅行は今より昔の方が圧倒的にスリリングで楽しかったのだろう”ということ
何故なら、現代社会は情報にすぐアクセスできて便利な分、海外旅行のワクワク感が半減していると思うからです
誰かのブログで読みましたが、”Google MapとBooking.Comの普及でバックパッカーは死んだ”という言葉がありました
この言葉には非常に共感しましたねぇ・・・
バックパッカー(貧乏旅行者のこと)という言葉は私が学生の時(30年以上前)には普通に使われていましたが、確かに今は殆ど聞かなくなりました
誰もがスマホで旅先で様々な情報を得られるので、旅先でのトラブルを最小限にできるようになりました
旅先で道に迷って途方に暮れたり、宿に泊まれずに路頭に迷うリスクは最小限になったと言えるでしょう
深夜特急を読むと、旅先での色々なトラブルやそれに伴う出会いが海外旅行の大きな楽しみ、思い出になっていることがよく分かります
現代の海外旅行は、スマホのおかげで非常に便利にはなりましたが、旅先での出会いやワクワク感は深夜特急の時代に比べると大幅に減少しているのは間違いないでしょう
悲しいかな、現代人はスマホの発達のおかげで海外旅行の楽しみを大きく奪われていると言えますね
これは非常に残念なことです
文明が発達しすぎて、海外旅行の冒険感が半減してつまらなく退屈になってしまったのですから
現代は海外旅行情報が溢れ過ぎている
”深夜特急”はスマホもノートパソコンも全く普及していなかった(存在していなかった)昭和40年代の海外旅行記です
現在と違って海外旅行の情報など非常に少なかったのです
昭和の時代、私が子供の頃は、テレビでは”兼高かおるの世界の旅”などの旅番組が人気でした
だけど、パソコンもスマホも誰も持っていなかったこの時代は、個人が能動的に最新の海外旅行情報を得ることはできなかった
最新の海外旅行情報は非常に貴重なモノだったのです
だからこそ、旅の前のワクワク感や旅先での感動も今の海外旅行よりも遥かに大きかったと思うんですよ
現代はどうでしょうか?
スマホやノートPCでYouTubeを視聴したり、海外旅行系ブロガーのサイトを覗けば、最新の海外旅行情報に容易にアクセスできます
テレビでもアフリカや南米をはじめとした僻地まで芸能人が果敢に挑むような旅番組も多い
YouTubeでは多くの海外旅行系YouTuberが世界中から現地の最新情報を発信している
私自身、人気のある海外旅行系YouTuberの動画はよく視聴しますし、それはそれで楽しいことは否定はしません
彼らの動画再生回数は数十万回を超える動画もあって相当の人気ぶりが垣間見得ます
だけど、海外旅行情報の民主化が進んで(進み過ぎて)、海外旅行情報の価値は大きく下がってしまったことは否めない
有名な海外旅行先に行っても事前に様々な旅先の情報を得ているので、”深夜特急”の時代のような旅先でのワクワク感は半減しているでしょう
種明かしをされた推理小説を読んだり、結末がわかっている映画を鑑賞するような気分になるでしょうね
海外旅行情報の民主化が進んだ現代社会では、”深夜特急”のような海外旅行を楽しむにはかなりの工夫が必要でしょう
観光客が足を踏み入れない未開の地に行くのは危険を伴う
南米やアフリカや中央アジアの観光客があまり足を踏み入れない未開の地を旅行すればかなりの緊張感、海外旅行ならではのワクワク感(冒険感)を感じることができるかもしれない
しかし、そういう旅行スタイルは言うまでもなく危険が伴います
最悪、現地の人に誘拐されたり、捉えられたりして、もしくは遭難したりして外交問題になりかねない
一昔前は、某大学の探検部が無謀な旅を南米のアマゾンで決行し、その結果遭難して日本政府に大きな迷惑をかけたことが話題になりました
彼らはマスコミや世間から激しく叩かれました、と記憶しています
若気の至りなのでしょうが、やはり他人に大きな迷惑をかけるリスクがある旅行は慎まないといけないと思います
その意味では、現在は良い時代なのかもしれない
渡航先の危険性などもネットで情報収集すればかなりの精度の情報が集まると思います
まあ、そもそも論として、現在は未開の地のようなエリアは殆どないとは思います
テレビでもYouTubeでも相当の僻地の旅行に挑戦している人たちは少なくないですから
私は”深夜特急”のような旅行はできない年になってしまった(泣)
深夜特急は作者の沢木耕太郎さんの実際の旅行記です
私は、”香港、マカオ編”を読みましたが、これは沢木さんが26歳の時の旅行記なんですね
沢木さんはもう70代中ばですから50年くらい前の海外旅行の状況が書かれている本なのです
50年前といえば私がまだ幼児だった頃で、その時の日本は昭和の高度成長期のど真ん中でした
しかし、海外旅行は今と違って大変贅沢な時代です
50年前は、国内で飛行機で北海道や九州に行くのも大変な贅沢だったのです
それくらい、航空券が高い時代だったんですよ
だから、海外旅行する人は本当の特権階級の人に限られていたと思います
そんな時代の海外旅行ですから、沢木さんは貧乏旅行を余儀なくされたようです
この深夜特急では安宿に宿泊する様子や野宿のシーンが多く登場します
私は深夜特急を読んで、もうこの深夜特急のような海外貧乏旅はできないだろうなぁ、と寂しい気持ちになりました
貧乏旅行はやはりいつの時代も20代、30代の若者の特権だと思います
安宿や野宿をしながらの海外旅行は相当の体力がなければできません
50歳を過ぎた私には貧乏旅行とか交通の便が悪い場所への旅はもう無理だと思う
30代の時に沖縄離島旅にハマって、その頃は安宿に何泊をしたモノですがそれも若かったからできたことなんですよね
安宿は、壁が薄くて他の宿泊者の声が丸聞こえでやかましいし、エアコンがなかったり、部屋に虫が湧いていたりして、快適性とは縁がないのです
また、宿泊者もほとんどが若者ですから年配者が宿泊したら浮いてしまうのは避けられない
私のような年配者はそこそこのホテルに泊まりながら海外旅行を楽しむしかないですね
私の人生の最大の後悔は若いうちに長期海外旅行に行かなかったことです
若い人で長期海外旅行旅に憧れている人がいれば躊躇しないで行って欲しいですね
定年退職してからの海外旅行では体力的な面で長期旅行や僻地への旅行は難しいと思います
関連記事
最後に 〜便利すぎて海外旅行の楽しみが半減した現代社会〜
昭和の旅行バイブル、”深夜特急”を紹介してきました
この本は約50年前の旅行記ですが、令和の現在で読んでも面白い旅行記です
若き日の沢木さんの貧乏海外旅行を垣間見ることができます
スマホやノートパソコンがない時代でかつ、航空券が非常に高額だった時代の海外旅行ですから、今と違ってさぞかし面倒で大変だっただろうと思います
旅先で宿泊施設を見つけるのも大変だったこと、目的地に辿り着くのが大変だったことは、この”深夜特急”を読むとよく分かります
今はスマホアプリのBooking.Comで世界中の宿泊予約ができますし、GoogleMapのおかげで旅先で道に迷うこともない
しかし便利になったからこそ、今の海外旅行はつまらなくなってしまったとも言えるでしょうね
旅先で道に迷ったり、宿泊施設を探すのに苦労したりする過程にこそ面白い出会いがあるのです
深夜特急でもそのような場面が多く登場します
私は深夜特急を読んでスマホやノートPCがない時代に海外旅行した沢木さんが心底羨ましく思いました
海外の情報をスマホで誰でも簡単に得られる現代、深夜特急のような刺激的でちょっと危険な旅を楽しむのはもう無理でしょう
高度な情報化時代が海外旅行の楽しみを半減させたのはなんとも悲しいことだなあ、と深夜特急を読んで感じましたね