【書評】大前研一『日本の論点2021〜2022』を読んで時事問題の理解を深めましょう

読書

こんにちは

今回は大前研一さんの「日本の論点2021〜2022」の書評です。

国内及び国際的な時事ネタを網羅していてビジネスマンの教養本としては良くまとまっていると思います。

ただ、内容は政治的で大前さんの独断と偏見が随所に垣間見えます。大前さんの意見には賛否両論が当然あると思います。

ただ、大前さんは世界でも認められた論客ですから、彼の意見に賛同しようが賛同しまいが、彼の考え方は多くの人にとって参考になると思います。

仕事で忙しい人は、なかなか時事問題について関心が向かないと思いますし関心を持つ時間もないのかもしれません。

本書を読んで国際的、及び国内の時事問題について自分なりに情報を咀嚼して現代の教養を身に付けることは重要だと思います。

なお、本書は月間プレジデントで連載している大前さんのコラムの集大成なので、プレジデントで大前さんのコラムを定期購読している人には本書は不要かと思います。

【書評】大前研一『日本の論点2021〜2022』を読んで時事問題の理解を深めましょう

以下、『日本の論点2021〜2022』の要点です。

1)新型コロナ危機で炙り出された日本、世界の問題点

2)米中貿易戦争、日韓関係、気候変動などの世界的課題

3)トランプ大統領の政策を中心とした米国の課題

以下、私が重要と感じたポイントだけを取り上げます

新型コロナによる世界経済のダメージは想像以上に深刻かもしれない

新型コロナウイルスの感染状況は100年前のスペイン風邪に似ています。スペイン風邪の時は3年位感染が収まらず、世界中で金融緩和が実行され、その影響で10年後には世界大恐慌、さらにその10年後には第二次世界大戦になりました。

新型コロナウイルスの感染も数年間収まらない可能性もあるわけです。現在でも、日本だけでなく、米国もEUも経済対k策として大規模金融緩和でお金を刷りまくっているわけです。この世界中の金融緩和が長引けば世界恐慌が再度起こるかもしれないのです。世界恐慌が長引けば世界中で紛争が起きて世界大戦になる可能性もゼロではないのです。

コロナ禍で露呈された地方のリーダーたちの実力差

国がコロナ禍に翻弄される中、地方の優秀なリーダーたちに注目が集まっています。

例えば、鳥取県の平井知事、和歌山県の仁坂知事のコロナ対応は注目に値します。

彼らは積極的にPCR検査を推進し、大量検査と陽性者の隔離により感染者を封じ込めています。

人口あたりの感染者や死者は他の都道府県よりも明らかに低いのです。

平井知事と仁坂知事はコロナ国際標準対応である大量検査と隔離をしっかりと行い感染を最小限にしています。

トランプ・マジックの崩壊により引かれる株価暴落のトリガー

世界株式の株高が続いているのは、米国株式(S &P500、ダウ平均、ナスダック)が株高で過去最高益をマークしているのが原因です。

米国の株高の原因はトランプ政権の政策である、大規模減税と金融政策です。

各企業は大規模減税のおかげで余剰資金を株主への配当金に回せるので、配当が増えるから株が買われて株高になります。

金融政策は、トランプ大統領によるFRBへの利下げ圧力です。利下げ圧力を演出することで、市場の利下げへの期待が高まり、株高を演出してきたのです。また、米国金利は低くなっているとはいえ、日本やEUよりは高いので米国に資金が流れて米国株が買われて米国株が株高になることを後押ししています。

ただ、株価下落のリスク(ドイツ銀行の危機、米中貿易戦争のエスカレート、中国のバブル崩壊、中東と米国の紛争など)は多くあり、いつまで株高が維持されるのか分かりません。

まとめ

近年の世界や日本の時事問題がコンパクトにまとまっているので、ビジネスマンの教養として『日本の論点2021〜2022』を読むのは悪くない選択です。

ただ、大前さんの政治的な主張がかなり強めの内容になっていますから、読み手を選ぶと感じます。

細かく書くとネタバレになってしまうので多くは書けませんが。

こんな記事も書いています

2018年に読んだお勧め本です

米中激突恐慌(副島隆彦著)を読みました。世界株式や世界債権に投資している人には是非読んでほしい一冊です。

大前研一氏の新刊”国家の衰退からいかに脱するか”を読みました。日本の問題点と世界の自国第一主義にどう立ち向かうかを問う書。内容は賛否両論ありますね。