はじめに;米中激突恐慌は本当に起こるのか?
私が何故、この本を購入したかというと、米中貿易戦争の行く末に興味を持っているからです。(というよりも心配していると言った方が正しいかも)
何故興味を持っているかというと、世界株式や先進国株式を保有しているからなんですね。
米国が中国に貿易戦争で負ければ米国株の価値も米ドルの価値も低下していくでしょう。
一方、新興国の中国が貿易戦争に負ければ米国の株価や米ドルの価値は更に上がるでしょう。
世界株式を保有している身としては、米中貿易戦争の行方が保有株式の資産価値に大きな影響を与えるのです。
私だけでなく、世界株式にある程度の額を投資している人は、2大大国である米中関係には興味を持たずにはいられないはずなんですよ。
勿論、米中貿易戦争の行方は誰にも分かりません。この本が主張しているような恐慌になるかどうかも誰にも分かりません。
ただ、歴史を見る限り、永遠に反映している国はありません。栄者必衰という言葉がありますが、この言葉は歴史を見ると真実なんですよ。ローマ帝国、大英帝国、スペインなども一時期は世界覇権を握りましたが、今は見る影もありません。
我が日本もバブル崩壊以後は凋落を続けていて、今は一人当たりのGDPはイタリアと同じくらいという体たらく(世界で二十七位くらい)。バブル崩壊前はぶっちぎりで世界一だったので30年弱で日本は大きく衰退しました。
私は現在50歳ですが、50年前の中国は世界でも最貧国の一つでした。
たった50年足らずで米国をビビらせるくらいに成長した中国という国は本当に凄いですね。
私の勘では、数年足らずでGDPでは米国を追い越すのではないでしょうか?
中国は科学論文数や特許出願数が米国と並んで世界トップレベルなんですよ。日本はとっくに追い越されています。
後20年もしたら中国からノーベル賞受賞者が次々に出てくるのではないでしょうか?
日本はここ10年ほどノーベル賞受賞者を輩出していますけど、残念ながらこれらの業績は20年前くらいのものがほとんどです。
まだ、日本が元気だった頃ですね。
現在の日本は大学も企業も経済的に疲弊しているのでノーベル賞を受賞するような画期的な技術を生み出す力は無くなっています。
ここ数年は分かりませんが10年以上経ったら米中貿易戦争は中国が勝利するような気がします。
米国をはじめとする先進国の資本主義が崩壊しつつあるようです。
この本は、米中貿易戦争、GAFAとアリババ、テンセントをはじめとした中国ハイテク企業との戦い、先進国の資本主義の崩壊などが副島さんの情報網や知見で詳しく語られています。
副島さんは、もともとは米国の研究家。経済が専門の評論家ではありません。
米国の専門家が米国の資本主義経済のヤバさについて主張するのは非常に説得力があります。
ただ、副島氏らしく、ただ無意味に危機感を煽っているわけではありません。
客観性のあるデータ(根拠)を示しながら中国米国の競争の激しさから起こる世界金融危機の可能性を主張しています。
米中貿易戦争の緊迫した状況が詳細に語られているので、株式投資していなくても、世界情勢に興味がある人は興味深く読めると思います。米国、中国の情勢に詳しくなれるでしょう。
副島氏は現在のところ、米中貿易戦争は米国の負けであると分析しています。
私が興味深く読めた場所は、ホワイトハウスとGAFAなどの米国ハイテク企業ともやり取りです。
さすが、米国研究の専門家である副島氏。独自の情報ルートを持っているのでしょう。
新聞では書けないような情報がこの本の中では惜しみなく書かれています。
その中身については詳しく書かれているので本を読んでお楽しみということで・・・
私も世界株式に投資しているので米中激突恐慌が起こると怖いです。
私は世界株式、世界債権、コモディティ(金など)に分散して投資しています。
とはいえ、投資のポートフォリオは世界株式がほとんどです。
ここ一年くらい、米中貿易戦争が原因で世界株価が不安定になっているのが骨身にしみて分かっています。
トランプ氏のツイート内容や米中会談の結果などで大きく世界株価が変動するんですよ。
世界株式にある程度の資産を置いている人は気が気ではないでしょうね。
副島氏の予測通り、米中激突による世界恐慌が起これば世界株式、世界債権は暴落するでしょう。
一方、コモディティ(金)や暗号通貨(ビットコインなど)は値上がりする可能性が高いですね。
北朝鮮がミサイルを撃ちまくっていた時はビットコインの値段が急上昇したことは記憶に新しいです。
まさしく有事の金、ビットコインです。
ただ、世界恐慌が本当に近い将来に起こるかどうかなんて誰にも分からないので、投資家としては淡々と株式を積み立て投資するのもありです。
仮に暴落しても、その時は株式が格安で買えるわけですから絶好の買い場となります。
もし、この副島氏の主張を信用するなら、今のうちに金やビットコインを増やして、世界株式や世界債権を売却しておくのがいいのでしょう。
そして、世界恐慌が起こって世界株式が暴落したらその時に世界株式を購入すればいいです。
投資は株式に限りませんが安く買って高く売るのが王道ですからね。
まとめ
最近読んだ、米中激突恐慌(副島隆彦著)を紹介しました。
新刊なので、大きめの書店の新刊コーナーに行けば必ず目立つ場所に置いてあるはずです。
私も近所の大型書店の新刊コーナーでこの本を購入しました。
私が思うには、本を出版する側にすれば本を沢山販売して利益を出さなければいけないので、人々の不安を煽るような”米中激突恐慌”という本の題名にしたのかもしれませんね。
不安を煽って心配させて、高い商品を売りつけるのは古今東西、時代を問わず商売の王道なのです。
この本も1890円(税込)もしますし、決して安い本ではありませんから誰にでも勧められる本ではありません。
世界株式に投資している人、これから世界株式に投資しようと検討している人、世界情勢などの時事問題に関心がある人にはお勧めできますね。
新聞やTVでは伝えていない情報が沢山載っていますので、仲間内での話のネタにもなりますし、くだらない飲み会なんかに5000円出すくらいなら、この本を1890円で購入する価値はあると思いますよ。
関連記事
これからの時代、株式投資は不可欠なのか投資の素人が考えてみた。投資に手を出すなら事前にお金の勉強は不可欠です。
大前研一氏の新刊”国家の衰退からいかに脱するか”を読みました。日本の問題点と世界の自国第一主義にどう立ち向かうかを問う書。内容は賛否両論ありますね。
9月度の資産運用報告。米中貿易戦争による影響で世界株式は低迷したまま。日本株式は長期間低迷を継続中です。
FAANG(Facebook, Amazon, Apple, Netflix, Google)が青ざめて注視する中国のシリコンバレーの深圳市 (by日本の論点2019〜2020 大前研一)