はじめに
こんにちは。派遣社員として毎日消耗しているマコです。
残酷すぎる成功法則(エリック・バーカー著、橘玲 監訳)を最近読みました。
アマゾンで購入したわけではなく、大型書店の自己啓発本コーナーでたまたま見つけて気になったので購入してみました。
気になった理由の一つに監訳者が大好きな作家の橘玲さんだったからなんですよ。
橘玲さんはべスロセラー本を沢山輩出する超有名な作家ですから知っている人も多いと思います。
ベストセラーの”言ってはいけない残酷すぎる真実”を読んで橘玲さんの思想が好きになりましたね。
自己啓発本って、胡散臭いと思っている人、沢山いると思うんですよ。私もその一人です。なぜ、胡散臭いと思うのかというと、証拠(エビデンス)がないからに尽きますね。著者本人の体験だけで語っている自己啓発本がほとんどなので、普通の人の参考になる普遍的な考え方や哲学が書かれていることがまずないと言っていいでしょう。
一方、この”残酷すぎる成功法則”は著者の体験や思い込みで書かれている本ではありません。全ての主張に証拠(研究者の論文から引用した統計的データ)があるので、胡散臭さは皆無ですね。自己啓発本というよりも科学論文を読んでいる様な感じです。
巻末には膨大な量の参考文献の紹介がありますから、心理学や精神医学の研究者も使える本であると感じました。
普通の自己啓発本は胡散臭くて嫌だという方には、自信を持ってお勧めできる本です。
この本を読むときん注意が必要なのは、かなり分厚いので、読むのに時間がかかるという事です。私は丸3日間ほどかけて読破しました。私は本を読むのが苦手なタイプなので普通の人よりも読むのが遅い部類ですが、片手間に隙間時間で読める本ではないのは確かです。
内容はわかりやすい方ですが、所々に専門的な記述もあって、読み応えは十分です。内容も盛り沢山で一回読んだだけで全てを理解するのは難しいでしょう。私もなんとなくは理解しましたが、あやふやにしか理解できていない箇所も多いです。これからも2度、3度読み返してみようかなと思っています。
この内容で1500円は安すぎると思いますよ。
本の構成は6章に分かれています。簡単に中身を紹介します!!
”残酷すぎる成功法則”の中身の紹介
第1章 成功するにはエリートコースを目指すべき?
結論
学校エリートコースを目指す必要はない!
学校は全ての科目で良い点を取るシステム。実社会は一つのことを極める人が重宝される。
得意なことに集中することが幸せを手にするカギである。
自分に合った環境(池)を選択すれば成功できる可能性は高い。
示されている証拠(エビデンス)
大学での成績とその後の人生の成功は関係ない
学力と知的能力の相関は高くない
タンポポ(普通の人)は粗悪な環境でもそこそこの花を咲かせるが、良い環境で育てても綺麗な花は咲かせない(大成功はしない)
蘭(優れた人)は粗悪な環境ではしおれてしまうが、良い環境で育てれば見事な花を咲かせる(大成功する)
並外れてクリエイティブな人たちは誠実性にかけ、傲慢で、支離滅裂、衝動性を有する
人間の根本的な個性は改善しようとしても大きく変化はしない
第二章 いいひとは成功できない?
結論
いい人は大成功する確率は高い。一方、他人から搾取されて社会底辺をさまよう可能性も高い。
成功する人生戦略
→自分に合った池を選ぶ・まずは自分から協力する・無私無欲は成人ではなく愚人である・懸命に働き、そのことを周囲に知ってもらう・長期的視点で考え、相手にも長期的視点で考えさせる・自分を許す様に相手も許す
示されている証拠(エビデンス)
短期的には、嫌な奴がうまくいき、親切な人は大損する
長期的には、組織で利己主義に走る人が多いと、組織そのものが崩壊する
安定した長期取引にはルールと協力、信頼が欠かせないことがわかっている
中世の人を震え上がらせていた海賊でさえ、手下を丁重に扱い、組織の協力信頼を大事にしていた。→その方が商売がうまく行くから
ギバーは成功者に多いが搾取されて底辺に陥る人も多い。テイカー、マッチャー(ギブアンドテイクの人)はそこそこの普通の生活を手に入れる人が多い
幸福度はギバーが一番高い。一方で他人をだしぬくテイカーは人生満足度は低い。
一番利得が稼げる行動原理は寛容なしっぺ返し
→最初は相手に協力的にする→相手がこちらに協力的であればこちらも協力的にする→相手が裏切っても何回かは許すが裏切り続ける相手にはこちらも相手を裏切る戦略にする
第3章 勝者は決して諦めず、切り替えの早い者は勝てないのか?
結論
勝者は見込みがないことには見切りを早くつけ、見込みがあることに時間と労力を投下して成功する
正しく諦めることは成功の条件
→何度かやってうまくいかなかったら諦める。時間を無駄にするだけ。
→時間とエネルギーは限られている。戦略的放棄を受け入れる。もっと、生産的なことに時間を割けると考える。お金は増やせるが時間は有限であると認識すること。
示されている証拠(エビデンス)
何かに懸命に打ち込み決して諦めずに最後までやり通す力(グリット)は重要
→自分に語りかける有意義なストーリーがやり抜くには重要。事実である必要は全くない
→ストーリーを考えるには自分の死について考える。自分がどう生きたいのか?を考えるのが良い
弁護士にうつ病が多い理由→職業柄、正確で残酷な真実をストーリーにする傾向にある→グリットが弱く、離職率が高い
逆強の中での前向きな言葉はやり抜く力に大きなプラスになる
楽観主義は業績を伸ばす
悲観主義者は遺伝ではない。自分の周りの世界に関して自分に説明する言葉が原因。悲観思考は変えることが可能。説明スタイルを楽観的に変えるだけで気分が楽になる
生きる意味を見出している者は極限の過酷さでも生きていける。自分のためではなく他人のために生きているものは強い。
仕事を勝算の見込める自分なりのゲームに見立てると、面白くなる
→絶えず、課題を与えること、ささやかな成功でも祝ってみること
人は楽であることを求めてしまうが、本当の幸せをもたらすのは刺激である
目覚ましい飛躍遂げた企業はイノベーションが原因ではない。不採算部門の廃止で飛躍した企業がほとんどである。
自分にとってあまり重要でないことを見切りをつけるのは、得意なことに時間を避けるので超重要
最もストレスで参ってしまう人→うまくいかないことを断念しない人(固執する人)
運がいい人は、新しい経験を積極的に受け入れ、外交的で、神経質ではないというデータがある。
小さな実験を繰り返して一番良いものを見極める
賢い人がゲームに勝つわけではない。 成功者は沢山の小さな賭けをする。 単純に量の多さが質の高さに繋がる。
諦めるべきものは毎週、毎日やっていながら、何の価値も生み出さないもの
早い時期に煩雑に転職する人は、キャリア全盛期に高賃金、高収入を得ている傾向がある→自分にあった天職に巡り会える可能性が高まる
Youtubeは出会い系サイト、グーグルは図書館の蔵書検索から始まっている。成功企業は常に新しい試み、損切りを繰り返している
繋がりの薄い知り合いを多く持つ方が最先端のことを見聞きする機会に恵まれる
第4章 なぜ”ネットワーキング(人脈作り)”はうまくいかないのか
結論
人間は快楽適応(直ぐに有り難みを忘れる)という本能があるから周囲の人に対する感謝の気持ちを忘れやすいため。
人脈作りは胡散臭いもの、打算的なものであると思い込んでいる人が多いため。
仕事は人間関係で身を結ぶ可能性が極めて高い。人脈作りを胡散臭いとか思わずにスキルとして内向型人間も磨くべき
有能でない優しい人を目指す。有能で嫌な奴は嫌われる。
格好をつけたり、いいところを見せるのもやめる。逆効果になる。
示された証拠(エビデンス)
内向的な人はビジネスで成功する確率は極めて低い
内向的な人が外交性を装うだけでも幸福感が増す
外交的な人は傾聴力に欠いており、チーム内での支持を失うリスクがある
内向的人間の長所は技術を極めることができること。 トップアスリート、音楽家、投資家、プログラマー、学業が優秀なものは内向的な人間が多い
学業成績はIQよりも内向性が重要
内向的な人は受け身の人のリーダーには適さないが、目的意識がある人のリーダーには向いている
外交的な人は受け身の人のリーダーには適するが、目的意識がある人のリーダーには向いていない
気に入ったグループに参加すること。参加したいグループがない場合は、自らがグループを主催すること。
成功するには良い指導者(メンター)に若い時に師事することが不可欠。科学者、芸術家、アスリート、起業家など全てに当てはまる。それは統計的データに裏付けられている。メンターは職場の上司などではなく、自分で”非公式のメンター”を見つけることが重要。
論争をなくし良い結果だけを得る四つのルール
→落ち着いてゆっくりしたペースで話す
→自分の意見を挟まずに傾聴に徹する
→相手の気持ちにラベルを貼る:それは辛いですね、怒るのも無理はないなどと話しかける
→質問をして相手に考えさせる:間違っても何をすべきかを指示しないこと。相手を怒らせるだけ
第5章 できると自信を持つのには効果がある?
結論
自信は賢さと同程度に収入を左右する重要な要素である。しかし、自信過剰な人間は組織を滅ぼすことも企業研究で明らかになっている。楽観主義(自信)と悲観主義(謙虚さ)のバランスが成功の条件である。
示された証拠(エビデンス)
成功した実業家は謙虚さに欠ける人間が非常い多い。
成功者は良い意味で”妄想状態”であることが多い。過去の肯定的解釈が楽観主義を増幅させ成功の可能性を高める
どう認識するかは実態以上に重要だが、思い込みは長続きはしないことを知らねばならない。最終的に自分を欺くことになる。
間違った自信は根拠のない妄想や傲慢に繋がり、いつかは手痛い代償を受けることになる
自信を持つことのデメリット→現実を受け入れない、傲慢なイヤな奴になる
問題点を見つけて改善するには否定的な考え方と悲観主義が必要
自信より大事なセルフコンパッションという概念
→自分への思いやりのレベルが高い人は他者への思いやりが増すことが神経科学研究で証明されている。つまり人にも好かれやすい。自己嫌悪、現実拒否、自尊心に苛まれることもなくなる。また考え方に白黒の偏狭な見方ではなく柔軟性を持つことになり賢明さを得ることもできる。
第6章 仕事バカ・・・・それとも、ワークライフバランス?
結論
仕事バカは決して幸福にはなれない。仕事だけ熱心に行い、友人や愛する人とのつながりを蔑ろにすると決して幸福にはなれない。
示された証拠(エビデンス)
世界レベルの大規模調査で失業と若年死は因果関係がある。
疎外感を覚えたり感情移入できない仕事に就いている人は失業よりも幸福度が低い
→単純作業は心筋梗塞リスクを高める調査報告もある→退屈な仕事は人間を殺す
仕事の大成功と家庭円満は両立しない。現代に始まった現象ではなく古代ギリシャから続いているもの。
ボストンコンサルティンググループの実験
→従業員の休みを増やした方が会社の業績が伸びた。休みを積極的に取得している社員の方が顧客からの評判も高かった。
スタンフォード大学の研究
→労働時間が週55時間を超過すると、生産性は急激に低下。
→週70時間働く人間は余分な15時間で何も生産していないのと同じ。
ペンシルバニア大学の研究:出勤前のシャワータイムが職場よりもアイデアが浮かぶことを発見
ハーバード大学の研究
→過度なプレッシャーの下では創造性は45%低下することを発見
→ストレスは創造性ではなく、”プレッシャーによる二日酔い”を生み出す
睡眠不足について
→性格をネガティブにする
→ネガティブなことに過剰反応するようになる
→8時間の睡眠で通常の人間の脳はリセットされる
→もっとも生産性の高い黄金の時間帯は起床後1時間後から3時間半後である
90分の仮眠は睡眠不足をリセットできる
休暇について
→2週間の休暇を取ったものは仕事のモチベーションが上がり、燃え尽き症候群にもならない
→旅行の前後に働きすぎることは休暇の効果は半減する
コントロール感は人生の幸福感をます重要因子
→小規模事業者は仕事は楽ではないが、ライフスタイルに喜びを感じている。なぜなら、雇用者と異なり、自分で決断を下し、自分の好きなようにできるから。労働時間、ストレスは雇用者と同じでも幸福感は雇用者を上回る
→コントロール感を失っている時は脳はまともに機能しないことが神経科学の研究で明らかになっている
生まれつきの才能は気にしなくて良い。人生で達成できるものを左右するのは才能以外のもの
→40年間の世界中の学校教育の調査で、誰でも学べる分野ならば、適切な学習環境が与えられれば、例外なく全ての人が能力を伸ばすことができる という研究データがある
人生で重要な唯一のことは他者との関係。ハーバード大学医学部の有名な”グラント研究”で明らかになった。
→グラント研究;大学卒業から死亡まで大量の男性グループを追跡調査した研究
→人間関係の充実度は収入や仕事での業績に比例する
まとめ
”残酷すぎる成功法則”は著者の思い込みや願望が排除され、統計的な研究データに基づいた主張が多いので良い本だと思います。
自己啓発本によく見られる様に、著者の経験だけに頼らないので胡散臭さが全くありません。
成功法則が、心理学や精神医学の研究結果から導き出されているので、再現性が高いと思います。
著者が統計データから編み出した成功するための条件は以下になりますね。
1 調整すること:自分はどんな人間か? どんな人間を目指すのか?の二つを加味しつつ調整する
2 強みのスキルを最適な職務で活かすこと
3 周りをギバーに囲まれたギバーになる 又は 楽観的な自分に語りかけるストーリーを作る
4 自分を助けるネットワーク・本来の内向性と外向性を活かせる仕事に就く
5 物事の習得時、失敗した時に許すときも自分を前進させるセルフコンパッション(自分のあるがままを受け入れる)を意識する
6 多方面の人生を作る4要素間(幸福感、達成感、存在意義、育成)のバランスを考慮する
→バランスの見つけ方→汝自身を知れ
→友人や愛する人と繋がることが一番重要な調整
当たり前じゃないか?と思う人も多いかもしれませんね。私はギバーになるとか、セルフコンパッションを意識するというのが、新しい考え方だなと感じたので、取り入れてみようと思いましたね。
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