大学進学で真っ先に受験生や親御さんが考えるのは大学の偏差値でしょう
出来るだけ偏差値の高い有名大学に進学したいというのは、受験生もその親御さんの気持ちとして当然の心理でしょう
私自身、30年前、受験生の時は出来るだけ偏差値の高い大学に進学したいと思ったものです
ただ、私は大学の偏差値と同じくらい、またはそれ以上に学部学科選びが重要だと思っています
今日はその辺を掘り下げたいと思います
大学は偏差値以上に学部学科選びが重要
私の考えでは、早慶上智や旧帝国大学を卒業すれば、学部学科選びはそれほど重要ではないと思っています
勿論、一流大学ならば学部学科はどうでも良いわけではありません
ただ、一流大学のブランドは相当強力なので、就職が不利と言われる学部学科(一般論としては文学部、理学部など)でも全く就職先がないということはないと思います
ただ、こういった超一流大学に進学出来る人はごく一部の優秀な高校生や浪人生だけなことを忘れてはいけません
大部分の人は超一流大学には進学できないのですから、ブランド大学ではない場合は、学部学科が想像以上に就活に影響します
特にコロナ禍のような不景気の時は企業が採用を絞るので非ブランド大学で就職に不利な学部学科の学生は非常に就活で苦戦することになります
私自身、就職に不利な学科に進学して、卒業時にはバブル崩壊に直面して新卒時の就活には非常に苦労しましたし、その後の転職でも苦労しています(この点は詳しく後述します)
卒業した学部学科は一生ついてまわる
新卒の時に限っては、卒業大学のブランド力が非常に重要です
一流企業の殆どはコネでもない限り一流大学卒しか採用しませんね
一流大学卒ではない人は履歴書で足切りされてしまうので面接にも進めず頑張りようがないわけです
これが学歴フィルターというヤツです
まあ、卒業時に所属していた研究室やゼミの教授のコネで一流企業に入社できる人もいますけどそれはレアケースだと思います
ただ、大学名が通用するのは新卒までで、転職の時は新卒時の時ほど重要視されなくなります
転職の際は、前職でどのような仕事をしてどの程度の実績をあげたのか?が一番問われるからです
しかし、卒業した学部学科はサラリーマンを継続する限り一生ついて回ります
私は理学部応用化学科に進学して就職で苦労した
私は理学部応用化学科に進学し、4年後に同じ大学の理学研究科化学専攻に進学し2年間の修士課程を修了しました
私が大学院に進学したのは就職に有利だったからです
ただ、私が就活した時はバブル崩壊後の就職氷河期初期で大変な就職難でした
私の所属していた理学部化学修士課程の学生の多くは就職先がなかなか決まらずに悩んでいたものです
希望する就職が難しいと判断して博士課程に進学する学生も少なくありませんでした
理学部化学系は就職に不利であるということをこの時に嫌というほど思い知ることになりました
一つ上や二つ上の上級生たちは皆苦労せずに大企業に就職を決めていたので、理学部化学系でも就職は大丈夫なんだなと大学四年時には呑気に考えていましたが、まだ、景気が良くて採用を絞っていなかっただけなんですよね
自分が所属する大学の学部学科の就職の有利不利は景気が良い時には分かりません
景気が悪くなった時に所属している大学の学部学科の就職力がモロに実力として現れるのです
転職市場でも理学部化学系の学歴、職歴は不利
理学部化学専攻修了の学歴が不利なのは新卒の時だけではありません
転職市場でも非常に不利です
私はここ8年ほど、派遣社員として働いてきましたが、時々はダメ元と思いつつも正社員の職を探すことがあります
その度に化学系の求人が異常に少ないことに絶望的になります
最新のデータをマイナビ転職サイトで見てみると以下のような求人数です(2022.2/17現在)
○化学、素材、バイオ関係:207件
○ITエンジニア:1632件
○電気、電子、機械、半導体:1655件
○建築、土木:2777件
化学系の求人の少なさは一目瞭然です
電気、機械、建築などの工学系の求人が圧倒的に多いことがお分かりいただけると思います
当たり前ですが、ITエンジニアも非常に多いですね
ITエンジニアは数学系、情報工学系、経営工学系などプログラミングを学ぶ学科の学生を採用しますからこれらの学科も就職には非常に有利と言えるでしょう
製造業が主産業だった昭和の時代は数学科は就職に不利な学科の一つでしたが、現在の数学科はプログラミング教育する大学が多いので数学科は理学系の中では例外的に就職には有利な学科だと思います
偏差値が高い大学や学科が就職が有利なわけではない
私は大学受験の時、合格した大学は2校でした
一つは、都内中堅私大の理学部応用化学科で
もう一つは、別の都内中堅私大の工学部機械工学科でした
私が理学部応用化学科に進学したのは、その大学の方が若干偏差値が高かったからなんですよね
要は見栄を張ったと言うことです
この時の私は19歳の若造で卒業時の就職のことなんか頭にありませんでしたし、まだバブル崩壊前で日本の景気も良かったですからね
この見栄を張った進路決定は今考えても人生最大の失敗だったと思っています
前述したように機械系の就職、転職の求人数は化学系の比ではありません
数年前、某転職エージェントから中高年エンジニアの転職事情を聞いたことがありました
その転職エージェントも化学系より機械系の求人が圧倒的に多く、機械系技術者は中高年人材でも転職は比較的容易であると言っていました
機械系の学科を卒業しておけばよかったですねぇ、と気の毒そうに私に言ったそのエージェントの話ぶりが今でも忘れられません
私の失敗例を見ても分かるように卒業学部学科は新卒時だけではなく中高年になってからの転職にも大きな影響を与えるのです
前述したように、就職に有利な理系学科は
数学科、電気電子工学科、機械工学科、建築学科、土木学科、情報工学科、経営工学科などです
理学系で就職が有利なのは数学系くらいで、やはり工学系が就職には圧倒的に強いですね
数学系や電気電子系や情報系はどこの大学も偏差値が高く難関学科ですが、機械、建築、土木、経営工学系はそれほど偏差値は高くなく比較的入学しやすい学科と言えると思います
大学を就職予備校と割り切れる人ならば、建築、土木、経営工学系の学科に入学するのがお勧めです
偏差値が高くない学科の割には求人数が多いので不況時でも就職には強い学科です
まとめ
大学進学は、レベル(偏差値)も大事ですがそれと同じくらいかそれ以上に学部学科選びも重要であることを、私の経験も踏まえて書いてみました
理系に進学するなら就職のことを考えて、工学系(特に電気電子、機械、建築、土木、情報系)を検討することをお勧めしたいです
物理系や化学系などの理学系に進学すると就職には非常に不利になることは繰り返し伝えておきたいですね(早慶上智や旧帝国大学は例外)
理学系というのは研究者を目指すのでなければ原則目指さないほうがいいと思います
大学は就職予備校ではなく、学問を追求する場であるので就職だけ考えた学部学科選びには異論もあると思います
ただ、学問を追求すると言うのは研究者を目指すと言うことに等しいのです
当然、博士課程まで進学することが大前提になります
研究者の世界は言うまでもなく天才、秀才で構成される世界ですから99%の一般の人は忘れてもいいと思うんですよ
天才でも秀才でもない一般の人は卒業時の就職や卒業後の転職を十分に考えて、学部学科選びをすることを真剣に考えて欲しいです
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